
相談支援事業所の選び方とは?利用の流れや変更時の注意点も解説

障がい福祉サービスの利用を考えるうえで、相談支援事業所の存在は欠かせません。
しかし、はじめての方にとっては、選び方や利用の流れが分かりにくく、不安を感じることもあるでしょう。
この記事では、相談支援事業所の役割や種類をはじめ、失敗しない選び方のポイントから事業所を変更する際の注意点まで、分かりやすく解説します。
自分やご家族に合った支援を受けるために、ぜひ参考にしてみてください。
相談支援事業所の選び方とは?失敗しない4つのポイント
相談支援事業所は、障がい福祉サービスを利用するための大切な窓口です。
ここでは、はじめて相談支援事業所を利用する方に向けて、失敗しない選び方の4つのポイントを以下に紹介します。
・対応している障がい種別・年齢層を確認する
・相談支援専門員との相性を確認する
・地域とのつながり・情報力があるか
・見学・初回相談の対応で見極める
対応している障がい種別・年齢層を確認する
相談支援事業所によって、対応している障がいの種類や対象年齢には違いがあります。
たとえば、発達障がい・知的障がい・精神障がい・身体障がいなど、それぞれの障がいに特化した支援実績がある事業所もあれば、幅広く対応しているところもあります。
18歳未満の「障がい児相談支援」と、18歳以上の「計画相談支援」では支援内容や制度も異なるため、年齢層に対応しているかも重要です。
自分や家族の状況に合った専門性がある事業所を選ぶことで、より的確でスムーズな支援を受けやすくなるでしょう。
相談支援専門員との相性を確認する
相談支援の中心となるのは「相談支援専門員」です。相談支援員と信頼関係が築けるかどうかで、支援の質や満足度が大きく変わります。
最初の面談の段階で、以下の項目をチェックして相性を見極めましょう。
・話を丁寧に聞いてくれるか
・利用者の気持ちや希望に寄り添ってくれるか
・一方的に話を進めるのではなく、対話の姿勢があるか
・丁寧な言葉遣いや説明があるか
相談支援専門員と相性が合わないと、「相談しにくい」「自分の希望を言えない」と感じてしまい、必要な支援が受けにくくなる可能性もあります。
不安がある場合は、複数の事業所を見学し、専門員の変更を相談するのも1つの方法です。
地域とのつながり・情報力があるか
相談支援事業所を選ぶ際に見逃せないのが、その事業所が地域の福祉資源や支援機関とどれだけつながりを持っているかという点です。
以下のように地域とのネットワークが豊富な事業所ほど、利用者の希望や生活状況に合ったサービスを的確に提案してくれます。
・地域の就労支援事業所やグループホーム、生活介護事業所などを把握しているか
・医療機関や学校、ケアマネジャーとの連携が取れているか
・利用者の希望に応じた支援方法を柔軟に考えてくれる
このような情報力は実際の生活の質にも大きく関わってくるため、重要なチェックポイントです。
見学・初回相談の対応で見極める
どれだけ評判がよくても、実際に接してみなければ分からないこともあります。
初回の面談や見学時の対応を通して、以下の点を確認しておきましょう。
・話を遮らず、親身になって話を聞いてくれるか
・分かりやすく制度や流れを説明してくれるか
・不安や疑問に親身になって答えてくれるか
・強引に契約を勧めてこないか
初回相談のやり取りから、「この人なら安心して任せられそう」と感じられることが、長期的な支援において大切な判断材料となるでしょう。
相談支援事業所で受けられる3つの支援
ここでは、以下の3つの支援内容を詳しく解説します。
・基本相談支援
・地域相談支援
・計画相談支援
基本相談支援
基本相談支援とは、障がいのある方やそのご家族が抱える日常の悩みや不安に対して、幅広く対応する支援のことです。
相談内容に制限はなく、「困っているけれど、どこに相談すればよいか分からない」といったときの最初の相談窓口として利用できます。
たとえば、以下のような相談に対応しています。
・障がい福祉サービスを使いたいけれど、制度がよく分からない
・学校や就労の悩みがある
・家族の介護と生活の両立に悩んでいる
・ほかの支援機関や制度を紹介してほしい
予約不要で相談ができるので、気軽に利用できるでしょう。
地域相談支援
地域相談支援とは、障がいのある方が入所施設や病院から地域での生活に移行する際、または地域での生活を継続する際に必要なサポートを提供する相談支援です。
おもに、以下の2つの支援で構成されています。
支援の種類 | 内容 |
---|---|
地域移行支援 | 入所施設や病院から地域生活へ移行する際のサポート |
地域定着支援 | ひとり暮らしを始めた障がい者に対する見守りや緊急対応 |
具体的な支援は、長期間病院に入院していた方が地域で生活を再スタートする際の住まい探しや関係機関との調整、生活面の準備などです。
退院・退所後に不安を抱える方に対しては、訪問や電話でのフォローアップを行い、安心して暮らせるよう継続的に見守ります。
計画相談支援
計画相談支援は、障がい福祉サービスを利用する際に必要な「サービス等利用計画」を作成し、サービスが適切に使われているかをモニタリングする支援です。
対象は、18歳以上の障がい者で、サービスを利用する際には原則として計画相談支援が必要になります。
基本的な支援の流れは、以下のとおりです。
1.初回面談で希望や状況をヒアリング
2.サービス等利用計画の作成
3.市区町村へ提出・支給決定
4.定期的なモニタリングを実施し、計画の見直しも行う
利用者が自分に合った支援を無理なく受けられるよう、支援の設計から見直しまでを一貫してサポートします。
相談支援事業所の種類
ここでは、2つの相談支援事業所の特徴を以下に分かりやすく解説します。
・一般相談支援事業所
・特定相談支援事業所
一般相談支援事業所
一般相談支援事業所とは、障がいのある方が地域で自立した生活を送れるように、必要な支援を提供する事業所です。
施設や病院から地域生活へ移行する際のサポートや、地域での生活を安定して続けるための支援を担っています。
具体的には、以下の支援を行っています。
地域移行支援 | 地域定着支援 |
---|---|
・住まいの確保や生活環境の調整 ・福祉サービスや医療機関との連携 ・就労や金銭管理など、日常生活の準備 | ・電話や訪問による安否確認 ・困りごとの相談対応 ・必要時の関係機関へのつなぎ役 |
障がいのある方は普段から立や不安を抱えやすい状況だからこそ、寄り添った支援が求められるでしょう。
特定相談支援事業所
特定相談支援事業所は、障がい福祉サービスを利用するために必要な「サービス等利用計画」の作成や、定期的なモニタリングを行う事業所です。
以下のサービスを開始する際は原則として、特定相談支援の利用が必要です。
・サービス等利用計画の作成(本人や家族との面談をもとに作成)
・支援が適切に行われているかの確認(モニタリング)
・必要に応じて計画の見直しや更新
計画相談支援を担う事業所であり、「どのようなサービスを、どのくらい使うか」を一緒に考えてくれるでしょう。
相談支援事業所の利用の流れ
相談支援事業所を利用するには、相談の開始からサービスの利用開始までに、次の5つのステップを踏む必要があります。
・ステップ1:市区町村の福祉窓口に相談する
・ステップ2:相談支援事業所を選ぶ
・ステップ3:契約・アセスメント(聞き取り)
・ステップ4:サービス等利用計画の作成・提出
・ステップ5:サービス利用スタート・モニタリング
相談支援事業所を選ぶ際は、複数の事業所に問い合わせや見学をしてから決めるのがおすすめです。
なお、面談の際に生活に対する考えや支援への要望を具体的に伝えることで、より現実に即した支援計画を立ててもらえるでしょう。
相談支援事業所を変えたいときの注意点
ここでは、相談支援事業所を変更する際に気をつけたい4つのポイントを以下に解説します。
・市区町村の承認が必要
・請求・報酬関連の重複
・サービスの空白期間
・計画書の引き継ぎをスムーズに
市区町村の承認が必要
相談支援事業所を変更する際には、まずお住まいの市区町村(障がい福祉課など)への相談・手続きが必要です。
自己判断で事業所を切り替えることはできず、変更を希望する理由や新しい事業所名などを市区町村に伝える必要があります。
事業所の変更は、計画の見直しや支給内容に関わる重要な手続きとなるため、行政の確認と記録を要するでしょう。
変更前に「現事業所との契約解除のタイミング」なども確認しておくと安心です。
請求・報酬関連の重複
相談支援事業所を変更する際に注意したいのが、旧事業所と新事業所による報酬請求の重複です。
相談支援の業務には、サービス等利用計画の作成やモニタリングなどが含まれており、月単位で自治体に報酬請求が行われる仕組みになっています。
そのため、同じ月に2つの事業所がモニタリングを実施し、計画作成を行うと報酬が二重に請求されてしまうおそれがあります。
サービスの空白期間
事業所の切り替えがスムーズに進まないと、一時的にモニタリングなどの支援が途切れてしまいかねません。
とくに、新しい事業所がすぐに対応できない場合や、契約までに時間がかかるケースには注意が必要です。支援が空白になると、計画の見直しやサービス利用に支障が出る可能性もあります。
次の事業所の空き状況や面談日程は、早めに確認しておきましょう。
計画書の引き継ぎをスムーズに
新しい相談支援事業所でも、これまでの支援内容や生活状況に応じたサービス等利用計画が必要になります。
そのため、前の事業所が作成した計画書の内容や、本人の希望・課題などの情報を適切に引き継ぐことが大切です。
本人や家族が生活の変化を改めて共有すれば、計画の再構築がスムーズに進むでしょう。
なお、引き継ぎが不十分だと、支援の質が落ちてしまう可能性もあるため注意が必要です。
まとめ|信頼できる相談支援事業所と出会うために
相談支援事業所は障がいのある方や家族が、地域で安心して自分らしい生活を送るための重要な支援拠点です。
対応できる障がいや年齢層、相談支援専門員との相性、地域とのつながりなど、事業所によって特色や強みはさまざまです。
現在利用している事業所に不安がある場合は、変更する選択肢も決して間違いではありません。
信頼できる支援員と出会い、自分に合った支援計画を立てることが、よりよい暮らしにつながるでしょう。
役所との連絡や利用契約の締結に迷った場合は、岐阜市の就労継続支援A型・相談支援センターのTFFへぜひご相談ください。
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